弾性ストッキングは静脈疾患・リンパ管疾患の治療・予防に必須で,日常診療に広く応用されていますが,正しく使わないと,その目的を達せず,合併症もおこりえます。また,患者さんから「硬くてはきにくい」「すぐにずり落ちてくる」などの苦情も少なくなく,はけないままになってしまう患者さんも多数おられます。また平成17年4月には弾性ストッキングが医療器具として認定されより正しい知識が必要とされています。
平成14年の第23回日本静脈学会総会において弾性ストッキングの正しい使用法に熟知し,患者さんの苦情や質問に答えられる医療従事者を養成する目的で,弾性ストッキング・コンダクター養成委員会が組織されました。そして,講習会を受講し,一定の患者指導をおこなった医療従事者を,日本静脈学会が「弾性ストッキング・コンダクター」として認定することが決まりました。平成16年4月より肺血栓塞栓症予防に弾性ストッキングが保険認可され,血管疾患とは無関係の病棟でも弾性ストッキングを取り扱うようになり,この講習会の重要性は益々高くなってきました。平成18年6月に「弾性ストッキング・コンダクター認定制度」の規約を制定しその後いくらかの改変がありましたので,ここに記載します。
講習会は,日本静脈学会の理事,評議員が主催し全国各地で行っています。講習会の柱は,「静脈疾患・リンパ管疾患についての理解」と「弾性ストッキングの使用法」の二つです。前半は静脈疾患・リンパ管疾患,肺塞栓予防についての講義,後半は弾性ストッキングについての講義と弾性ストッキングの取り扱いへの実技指導です。医療従事者の資格を持っていない方でも講習のみの参加可能ですが,資格認定は看護師,医師,准看護師,臨床検査技師,理学療法士,臨床工学技士の資格を持つ方を対象としています。現在まで 1 回の講習会に100人から200人前後の受講者数となっており,受講後一定の臨床経験を積んだのちに弾性ストッキンコンダクターの資格をとることができます。平成22年現在で約800人の弾性ストッキング・コンダクター」が生まれています。今後も,意欲ある医療従事者のスキルアップ,臨床現場での安全管理に資する本資格を取得する人が増加することが予測されます。資格の継続には学問の進歩を鑑み,5年ごとの更新が必要となります。これからも地域性を考慮しながら全国で講習会を開催してゆきます。
本講習会は,日本静脈学会の理事,評議員が主催し弾性ストッキングばかりではなく,静脈疾患・リンパ疾患・肺塞栓症予防の医療安全などの啓蒙にも役立ちます。開催を希望される地域がありましたら,委員会(stocon.tmd@gmail.com)までご一報いただきたいと思います。
平成21年6月