静脈学,13(1):29-33,2002

シンポジウムII 原著

急性肺血栓塞栓症院内発症例の病態と対策
All Text丹羽 明博,新田 順一,呉  正次,宮本 貴庸,小林 和郎,永田 恭敏,中村 浩章,鈴木比有万
武蔵野赤十字病院循環器科
●要 約
 急性期を当院で入院管理した急性肺塞栓(APE)連続71例(院内発症22例,院外発症49例)を対象に院内発症APEの病態とその対策について検討した.治療法は線溶抗凝固療法を基本とし,2 次予防として一時的下大静脈フィルター(IVC-F)を使用した.発症時の入院診療科は多岐にわたっていた.死亡は22例中 6 例27.3%で,院外発症の49例中 8 例16.3%と差を認めなかったが,全例発症当日の死亡であり,約 1 時間以内の死亡が特徴的であった.心肺停止・ショック・失神が15例68.2%と,院外発症の24.5%に比して重症例が高頻度であり,前駆症状なく突然重篤な病態となったものが,15例中12例であった.院内発症APE例の病態は突然重篤になる症例が多く,特に発症直後の死亡が多い.線溶抗凝固療法や一時的下大静脈フィルターを中心とする,迅速な処置が要求される.また,院内各科との連携も重要である.
●索引用語
急性肺血栓塞栓症,院内発症,急性期予後,早期治療対策
受付日:2001年9月5日
もどる