【目的】透析シャント不全に対するPTAの有用性を明らかにし,狭窄病変に対する予後因子を検討する.
【対象】98年1月から01年11月までに透析シャント不全に対してPTA(146回)を施行した71人80病変を対象とした(狭窄62(自家血管53,グラフト9),閉塞18(自家血管13,グラフト5)).
【方法】狭窄例にはバルーンPTAを施行(径4-9mm,長さ2―4cm,6-25気圧),閉塞例にはハイドロライザーやウロキナーゼ(6-24万単位)を使用し,狭窄部にバルーンPTAを追加した.初期成功率と開存率を算出し,自家血管とグラフト,狭窄例と閉塞例で比較検討した.自家血管狭窄病変の狭窄長と拡張後血管径および残存狭窄率と予後との関連を検討した.
【結果】初期成功率は全体で88%,自家血管86%(狭窄94%,閉塞46%),グラフト100%で,自家血管閉塞例で低かった.初期成功が得られた70病変の一次開存率(6カ月,1年)は,自家血管(59%,49%),グラフト(46%,28%),で,自家血管とグラフト間に有意差を認めた.狭窄例(61%,39%),閉塞例(37%,25%)で,狭窄例と閉塞例間には有意差はなかった.狭窄長別では,<20mmでは≧30mm<40mm,>40mmより有意に良好な開存率が得られた.血管径が測定できた自家血管狭窄36病変の拡張後径を<2mm,≧2mm<3mm,≧3mmに分けると,各群で有意差はないが,<2mmの群で6カ月開存した症例はなかった.残存狭窄率は≧60%で有意に開存率が低かった.
【まとめ】透析シャント不全に対するPTAは有効な治療法で特に自家血管狭窄例で有効である.自家血管狭窄PTAは狭窄長が短いほど予後は良好で,PTA施行時には拡張後径を2mm以上,残存狭窄率を60%未満にすることが必要と考えられた.