イブニングセミナー 2-3

カテーテルによる血栓溶解療法と血栓摘出術
井上一郎
広島市立広島市民病院 循環器内科
【目的】急性肺塞栓症に対するカテーテルによる血栓溶解療法と血栓摘出術の急性期効果と長期予後を検討し,今後の患者管理に役立てる.
【対象と方法】急性肺塞栓症に対してカテーテルインタベンションを施行した連続128例を対象とし,急性期成績と平均63ヶ月後の慢性期予後を調査検討した.
【成績】急性肺塞栓症発症直後にカテーテルによる 3 種類の血栓除去術(catheter embolectomy, catheter fragmentation, rheolytic embolectomy)を施行し,肺動脈収縮期圧は58.5mmHgから39.5mmHgへ低下し,心拍出量は3.8lから4.7lへ増加し,死亡率は 5%であった(CPA症例を含む).深部静脈血栓症に対してはカテーテルによる血栓溶解療法と血栓摘出術を併用した.症例に応じては,ワーファリンに下大静脈フィルター留置を組合した慢性期治療を継続した.平均63ヶ月後の予後調査では,死亡率38%と高値であり,癌による死亡が14%を占めた.肺塞栓の再発率は 2%のみであり,慢性血栓閉塞性肺高血圧への移行は皆無であった.
【結論】急性肺塞栓症に対するカテーテルインタベンションは有効な急性期治療であり,慢性期の肺動脈イベントの出現はきわめて稀であるが,患者の長期予後は基礎疾患に大きく左右されることが示唆された.
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